院長ブログ

2020.01.26更新

民法では、不法行為による損害賠償を受けるためには、被害者の方で加害者側の過失を立証しなければならないことになっています。


民法・不法行為の説明はこちら


しかし、交通事故の被害者側がこうした立証を行うのは非常に困難であり、民法だけでは交通事故の被害者が十分に救済されないことになってしまいます。
こうしたことから、民法の特別法として、自動車損害賠償保障法(自賠法)というのが用意されています。

自賠法は自動車を運転する人を強制的に保険に加入させる自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の制度を定めています。
法律によって加入することが義務付けられていますので、車やバイクを運転する人は必ず加入しなければなりません。
自賠法では、交通事故の加害者は自らに過失がなかったことや被害者に落ち度があったことを証明しない限り、原則として損害賠償責任を負うこととされています。
自動車を運転中に事故を起こした場合には、まず自賠責保険から被害者に損害賠償金が支払われるしくみになっています。
それにより自賠責は被害者のために最低限の補償を確保するシステムを設けているのです。


自賠責保険の補償内容や限度額は国土交通省監修の自動車総合安全情報のサイトに詳しく載っています。
→http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/jibai/insurance.html


なお、自賠法は人身事故については適用されますが、物損事故には適用されません。
自賠責保険の補償内容は傷害・後遺障害・死亡による損害に対して(対人賠償)ですので、物損事故の場合には、原則どおり民法に従って損害賠償することになります。
そして加害者側であっても過失割合が100%でなければ自賠責保険が適用となり、被害者として補償が受けられることとなります。


まとめると・・・
交通事故は民法上の不法行為ですが、人身事故では民法よりも自賠法が優先され、加害者には民法よりも重い責任が課されることになります。
交通事故の加害者となった場合には原則的に損害賠償責任を逃れることができないのです
被害者となった場合には自賠法にもとづき最低限の補償が受けられることを認識しておく必要があります。

加害者側も、一度では支払いきれない損害賠償金を自賠責保険によって助けてもらっているのです。

事故後のケガで整骨院に通院する治療費や交通費もまずは自賠責保険から支払われることを理解しましょう。











そういえば、物損事故扱いだと自賠責は適用しないから治療関係費、休業損害や慰謝料は出ないってこと?
損保会社の担当は「人身事故扱いにしなくても補償はしますよ。」と言っていたけど・・・・・

それに関してはまた今度。

投稿者: アクア整骨院